「北海道 地図の中の鉄路」 堀淳一

本の話

本書は現在運行されているJR北海道の路線が対象の旅エッセイ。「北海道 地図の中の廃線」に較べて地図が少なく、文章が多い構成。最近廃線になった、江差線、留萌本線増毛-留萌間、海峡線も含まれている。日高本線は鵡川駅以降が代行バスによる運行で運休中。2冊合わせるとJR・国鉄北海道の全路線を旅したような気になる。

管理人は釧網線、石北本線、富良野線は乗ったことがなく、日高本線は鵡川まで列車に乗ったことがある。鉄道ファンといわけでもないが、路線が廃止になる前に何とか乗りたいと思う。廃線が決まると、ガラガラだった列車が急に混雑するというのは、江差線と留萌本線で経験したので。

JR北海道の駅は、乗降客が少ないところはどんどん廃止されている。集落に住人がいなくなり、廃駅となると何年か後には集落があったことさえ分からなくなる。本書でもそんなところが紹介されている。本書の中で、著者は観光名所を避けるツムジマガリと自虐的に述べている。管理人も観光名所を避けるようにしている。

 JR北海道について書かれた本はほかにも相当あると思いますが、それら既刊の本と同じようなことを書いても、当然ながら意味がありません。そこでこの本では、他の本にはあまり触れられていないであろう二つの事項に重点を置きました。
一つは各線のルート変更。これを網羅しました(万が一、脱落がありましたらお知らせ下さい)。今一つは、車窓から見える自然風景、なかでもおもしろい地形。これを能う限りくわしく描写しました。
これら二つは文章だけで伝えるのが非常にむずかしいのですが、ともに地図を使えば格段にわかりやすくなる事項。そこで、ここぞとばかり地図を最大限に活用しました。
逆に言えば、二つの重点事項はそもそも私が、常になめるように地図に見入っているおかげ出て来たもので、地図というものが存在しなかったらこの本もできなかったのでした。
もし読者の方々が、そんな本書をいくらでもたのしんでいただけたならば、著者としていたくうれしいことです。また、地図にとっても地図冥利に尽きることでしょう。

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