「絶対平面都市」 森山大道・鈴木一誌

本の話

本書は八編の対談が収録されている。管理人にとってこの本はとても読みにくかった。読みにくい理由を考えると、1)内容が難しいうえに重複が多い、2)対談の途中にしばしば引用がある、3)対談らしい丁々発止のやりとりがない等々。あとがきには、テープ起こしのために同席したひとが「これで原稿になるんですかね」と心配したとあった。後から相当手を加えたのではないかと思うが、数年前の対談にまだ出版されていないはず?の本書からの引用があるのは違和感があった。対談としてはあまり面白くないけれども、森山大道さんがどのようなに考えてストリートスナップを撮り続けてきたかはわかる内容になっている、と思う。管理人が内容を理解したどうかはあやしいけれども。それにしても、<写真>は難しい。

 すでに写真的なるものに埋めつくされている外界は、流動するにつれ、そこに無数のすきまが生じていて、カメラはそれらのすきまをもからめ撮るわけです。じつは外界は、オブラートのように幾層にも重なって構成されているわけです。世界は、写真が生まれる以前にすでに写真化されていた存在のように思えます。街や風景や人や物は、大むかしからさまざまな人びとの視線にさらされつくされてきているので、したたかに写真化されてしまっている。だからこそ、そこを、ぼくらカメラマンはさらに幾重にも写し重ねようとしているわけです。現在という時間をね。そうした、カメラを含めた視線のスパイラルと際限のないトレースの関係が、世界と写真の関係だろうという実感です。とすれば、写真には真の意味でのオリジナリティやパーソナリティが成立しにくいですね。

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