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「コロナ後の世界を生きる」 村上陽一郎編

新型コロナウィルスの感染者数はいまだに増加しており減少する気配がない。都市を封鎖して、人の行き来を遮断することがワクチンも特効薬もない現在で一番有効な手段である。しかしながら、都市封鎖をワクチンや特効薬されるまで続けるのは経済的理由から無理なことで、世界の都市封鎖は解除される方向に進んでいる。家に引きこもれば、感染リスクはなくなるが、経済的なダメージがそれ以上大きくなる人たちもいる。グローバル化した新自由主義経済が人やモノの動きが止まるとこれほどダメージを受けるということは理屈の上では理解できても実感としては想像できなかった。

パンデミックの世界経済に及ぼす影響は以前から指摘されていたが、楽観的な見通しのほうが優勢だったのか、根本的な対策を施す国は少なかった。日本でも、行政改革の名の下に国立感染症研究所では人員や予算を減らし、各自治体も保健所を減らしていった。赤字の国公立病院は病床数を減らしたり、閉鎖する方針が政府により打ち出された。新型コロナウィルスの対応は各保健所が主体となって行われているが、上手くいっているとは言えない。日本のPCR検査数は先進国では一番少なく、目に見えた対策が「自粛」のお願いという日本語的には矛盾して要請だけのように見えるが、それでも欧米諸国に比べ新型コロナウィルスによる死亡者は少ない。東アジアの国と比較すると多いほうだが。

本書の各論考は、多分今年6月位までの感染状況に基づいて書かれている。新型コロナウィルスに勝つとか負けるとかではなく、これからはどう共存して行くかということが問題になる。重症になりやすいのが高齢者や既往病のある人で、若いひとたちは感染しても無症状のほうが多い。人口の数パーセントの死亡者はしかたがないとみなして、経済活動を続けていくのか。誰しもその数パーセントに自分が含まれないことを願いながら、満員電車で通勤するのはなかなかシュールな光景だ。本書を読んでも先はなかなか見通せない。日本のTVの情報はあまり信用してはいけないということは分かったけれども。本書を読み終わった後に、日本の首相が病気のために辞任するというニュースが出回った。次期首相は新型コロナウィルス対策の新しい「日本モデル」を示すのか、あるいは今まで通りなのか。手をこまめに洗い、外出するときはマスクをして人混みを避けるといったことを繰り返すしかない。

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