鎮魂歌ー東日本大震災から3年

日誌

2014年3月11日

人は揺れ
大地は揺れ
あらゆるもの 陸の奥深くへ流れ込み
倒れ込み
閉じ込められ
冷え
しんしんと冷え
恐ろしきもの 空から降り
降り積もり大地に染み込み
光を求めるすべての生きもの
生命の穂先が震えて
立ち尽くし
水を求め
嘆く声を求めて
白い月皓々と
森の上にあがる

いまは 照らすとき
光とすれ違い 闇とすれ違い
生きるものすべての
悲しみの 魂の
流れるものすべての
倒れるものすべての
壊れるものすべての
はじまりの いぶきを
感じとり 息せき つかみとり
大地の母に捧げる
ふたたび
みたび

人は揺れ
大地は揺れ
あらゆるもの 陸の奥へ流れ込み
倒れ込み
閉じ込められて
ゆるしてほしい
わたしたちが
この大地を抱擁し
接吻することを

(佐々木幹郎 詩集『明日』より)

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