「古書古書話」 荻原魚雷

本の話

本書は「小説すばる」に2008年1月号から2018年3月号まで連載された「古書古書話」をまとめたもの。単行本にはその他「本の雑誌」に掲載されたエッセイが数編含まれている。単行本で1編4頁の古書に纏わるエッセイで読みやすいけれども、雑誌連載10年分となると結構量が多い。

本書で紹介されている本で管理人が読んだことがあったのは、内田百閒の「阿房列車」と西江雅之の「異郷の景色」だけだった。最近管理人は古本屋へ行ったり、古本を買うことが全くなくなった。若い頃は、よく古本屋巡りをしたし、古本を買うこともあった。なにせ本の増殖はお金と住むところを圧迫する。引っ越しのたびに、家族や引っ越し屋さんに嫌味を言われる。しようがないので蔵書を何回か処分して、もう本を増やさないと決心するのだがいつの間にかまた増殖してしまう。古書コレクターのひとはどうやって蔵書を収納しているのか。

全く本の趣味嗜好が違う著者のエッセイを読んで面白いと思うのは不思議な感じ。野球は見ないし、私小説作家の本も読まないし、実用書も漫画も読まない。将棋も全く分からない。管理人はスポーツならサッカー、将棋ではなく囲碁が好きという人間なので。本書で紹介されている本で読みたいものがあったがちょっと値段が高いので入手することは無理。それでも魚雷さんのエッセイはこれからも出たら読むと思う。

 本は一冊で完結しない。一冊の本は無数の本につながっている。つながっているのは本だけではない。文学、実用書、漫画、音楽、将棋、野球、釣り、家事。ジャンルはちがっても掘り下げていけば、かならずどこかでつながる。人が歩いた後に道ができるように読書の後にも道ができる。この話、ちゃんとつながるのか心配になってきた。すぐにはつながらなくても、忘れたころにいつの間にかつながっていることもよくある。

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