「散歩が仕事」 早川良一郎

本の話

早川良一郎さんの本は、みすず書房大人の本棚の「むだ話、薬にまさる」と「さみしいネコ」とを読んでいて、本書で3冊目。本書は著者が定年退職後に書いたエッセイ集。それで「散歩が仕事」ということなのだろう。初版は1982年に出版されている。

著者は1979年に定年退職している。定年退職後に他の会社に勤めた様子がないので「毎日が日曜日」といったところか。管理人は途中で会社でやめたので、定年退職後の生活というのは想像するしかないけれども。本書を読んでもサラリーマンの定年退職後の悲哀といった感じがあまりしない。著者が学生時代から遅刻の常習犯だったので、定年退職後はゆっくり朝寝坊ができると書いている。このあたりが著者ならではの感覚だと思う。

著者は大正8年生まれ。ロンドンに留学するときは船旅だった。招集されて軍隊生活も送っている。渋谷で忠犬ハチ公の尻尾を踏みつけたエピソードが本書にあり、時代感覚が何か変な感じになった。著者とロジェ・グルニエは同い年というのも不思議な感じがした。

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