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「写真の秘密」 ロジェ・グルニエ

本書は写真やカメラマンに関連するエッセイ集。ロジェ・グルニエの本を読むのは「写真の秘密」が初めて。本書を執筆したのが91歳の時というのは驚きだった。”fotofever paris”に作品参加することになったけれども、「ぱりへ行きたしと思へどもぱりはあまりに遠し」ということでパリには行くことが出来ないので、せめてパリに行った気分になるような本を読もうと10月の新刊「パリはわが町」を購入。amazonで買うのに1冊だけじゃ何ので同じ著者の「写真の秘密」も購入。ページ数の少ない「写真の秘密」から読みはじめた。

著者が子供の頃、家では眼鏡店を営んでおり写真も扱っていた。そのため著者は小さいときから写真を撮り、写真の現像やプリント技術も覚え、写真店でアルバイトをすることもあった。友達の母親からヌード写真のプリントを頼まれたり、現像に失敗したときはカメラが壊れていると店主が客をだまして無理矢理修理させたりと様々なエピソードが語られる。著者が新聞記者になってからは著者自身で写真を撮らずにカメラマンと一緒に仕事するようになる。あるカメラマンと一緒に仕事をした時、取材対象が何であれ、死でもって終わりを告げることが続き、何か不可思議な呪いにでもかけられているのではないかと信じたくなったそうだ。

ロジェ・グルニエはブラッサイとは親友で、本書でもたびたび取り上げている。ブラッサイがデッサンをしたり、絵を描いたり、彫刻をしたり、映画を撮影したり、文章を書く姿は何度も見たことがあるけれども、ブラッサイが写真を撮る姿は1回だけしか見たことがないと著者は述べている。

 肖像という芸術は、小説に近い。それは、その流儀でひとつの物語を提示しているのだ。そして想像力を解放してくれる。写真の二人の登場人物のことや、その環境を知らなくても、わたしは、バルコニーと、空と、家具と、一方の人間の白髪と、他方の犬の白い毛を使って、ひとつのストーリーを作り上げるだろう。それは、わたしのお気に入りのゲームのひとつなのだ。ただひとつだけ条件があって、もちろんそれは、他人の写真でなくてはいけない。
 ダイアン・アーバスが書いている。
「だれもが自分に、ひとつのイメージを付与したいという欲望を抱いている。しかし、立ち現れるのは、まったく別のイメージなのだ。」
 アーバスは、カフカの『ある犬の研究』というテクストは、彼女が一度も写真を撮ることが出来なかったなにかを語っていて、しかも、彼女にとっては、一枚の写真のようなものだと述べている。
 そしてアーバスは、こう宣言している。
「一枚の写真とは、ある秘密をめぐるひとつの秘密なのである。」

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